「近くで外壁塗装の工事をしているのですが、今なら足場をそのまま移動できるので、お宅の足場代を無料にできますよ」
突然やってきた営業マンに、このように言われて心が揺れていませんか?
外壁塗装において、足場代は一般的に約15〜25万円かかります。「それが無料になるなら……」と契約を急いでしまう気持ちはわかります。
しかし、結論から言います。その「足場代無料」は、典型的な悪徳業者のセールストーク(罠)です。
絶対にその場では契約しないでください。なぜ足場代を無料にできるのか、その裏にある危険なカラクリと、あなたが取るべき正しい対策について解説します。
なぜ「足場代無料」はあり得ないのか?
まず知っておいていただきたいのは、「足場代は絶対に無料にはならない」という事実です。
足場を組むためには、以下のコストが必ず発生します。
- 部材の運搬費: 重い鉄の部材をトラックで運ぶ費用(ガソリン代・車両費)
- 組立・解体の人件費: 国家資格を持つ「足場の組立て等作業主任者」など、専門職人が複数人で作業する費用
- 部材のリース代: 自社保有でない場合はレンタル費用、保有の場合でも維持管理費
「近くで工事をしているから」といっても、足場をそのまま空中に浮かせて隣の家に移動させることは不可能です。一度解体し、トラックに積み、再度あなたの家で組み立てる必要があります。つまり、手間も人件費も通常通りかかるのです。
「足場代無料」のカラクリと3つのリスク
では、なぜ業者は「無料にする」と言えるのでしょうか?そこには消費者を欺くカラクリがあります。
1. 見積もりの総額は安くない(項目の付け替え)
最も多いのが、足場代を「0円」と記載する代わりに、塗料代や施工費(人件費)の単価を相場より高く設定し、帳尻を合わせるパターンです。
- 通常の見積もり: 足場代 20万円 + 塗装代 80万円 = 総額 100万円
- 悪徳業者の見積もり: 足場代 0円 + 塗装代 100万円 = 総額 100万円
一見お得に見えますが、総額は変わりません。「お得感」を演出して契約させるための数字のマジックです。これならまだ「金銭的な損」だけで済みますが、次のパターンは家の寿命に関わります。
2. 深刻な手抜き工事の温床になる
もし本当に値引きをしている場合、業者はどこかで利益を確保しなければなりません。そのしわ寄せは「工事の品質」に行きます。
- 塗料を薄める: 規定以上に水やシンナーで薄めて塗料代を浮かす。
- 塗り回数を減らす: 本来3回塗りのところを2回で済ませる。
- 下地処理を省く: 洗浄やひび割れ補修をせず、上から塗料を塗って隠す。
このような手抜き工事をされると、塗装後わずか2〜3年で塗装が剥がれてきます。20万円の足場代をケチった結果、100万円以上の工事が無駄になり、家の寿命を縮めることになります。
3. 追加料金を請求されるリスク
契約時は「無料」と言っておきながら、工事が始まってから「下地が傷んでいる」「追加の部材が必要になった」などと言って、高額な追加料金を請求してくるケースもあります。
悪徳業者がよく使う「キラーフレーズ」
訪問販売の業者がよく使う言葉にはパターンがあります。以下の言葉が出たら、警戒レベルを最大に上げてください。




特に「今日契約すれば」という急かし文句は要注意です。まともな業者は、数百万円の買い物を即決させるようなことはしません。考える時間を与えないのは、他社と比較されたくない(嘘がバレる)からです。
足場代の適正相場を知っておこう
騙されないためには、正しい相場を知っておくことが最大の防御です。一般的な2階建て住宅(延床面積30坪程度)の場合、足場代の相場は以下の通りです。
- 足場代の相場: 15万円 〜 25万円
- 単価: 1平方メートルあたり 600円 〜 1,000円
- 飛散防止ネット: 1平方メートルあたり 100円 〜 200円
見積書を見たとき、この金額が「無料」になっていたら、必ず他の項目(塗料の単価や諸経費)が相場より高くなっていないか、あるいは総額が安すぎないか(手抜きの可能性)を疑ってください。
もし「無料」と言われたら?正しい断り方と対処法
1. その場では絶対に契約しない
どれだけ魅力的な提案でも、「家族と相談します」「知り合いの業者にも見てもらいます」と言って、その場での契約は避けてください。名刺だけ受け取り、帰ってもらいましょう。
2. クーリング・オフを利用する
もし、勢いに負けて契約してしまった場合でも、契約書面を受け取った日から8日以内であれば、無条件で契約を解除できる「クーリング・オフ」が適用できます。
2. ハガキなどの書面、または電磁的記録(メール等)で契約解除の通知を送る。
3. 記録を残すため、ハガキの場合は「特定記録郵便」や「簡易書留」で送付する。
※訪問販売の場合、業者はこれを拒否できません。
3. 複数の業者で見積もり(相見積もり)を取る
その業者の提案が本当に適切かどうかを判断するには、地元の優良業者など、他の業者からも見積もりを取って比較する「相見積もり」が最も有効です。
他の業者に「足場代無料という提案を受けた」と相談してみてください。「それはあり得ないですね」と、プロの視点から具体的なリスクを教えてくれるはずです。
まとめ:「タダより高いものはない」を忘れずに
外壁塗装において、足場は職人の命を守り、丁寧な仕事をするための重要な土台です。
「足場代無料」という甘い言葉は、あなたから正常な判断力を奪うための罠です。約20万円の「見せかけの値引き」に釣られて、100万円単位の失敗をしないようにしてください。
もし現在、訪問業者から提案を受けているなら、一旦ストップしましょう。そして、必ず複数の業者から見積もりを取り、適正価格で誠実な工事をしてくれる業者を探してください。
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